在学生・修了生インタビュー

名古屋工業大学大学院工学研究科博士前期課程 工学専攻社会人イノベーションコース

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エンジニアとして「別次元」へと成長。大学院でさらなる高みへ

松尾大介さん

エンジニアのお父様のアドバイスで3D-CAD講座の受講を決意した松尾さんだが、元々は大学では外国語を学んだ文系人間だという。1年間の講座を修了後、さらに大学院に進学。所属する会社の理解もあり、働きながらロボットの研究を行っている。

父親との会話で即断し、その日のうちに受講を申し込む

「私と同じエンジニアの父親から、『デジタルでのものづくりが急速に進んでいるから、設計も2次元から3次元になる。おまえもレベルアップを考えたらどうか』と言われたのが、すべての始まりでした」と松尾さん。2016年の正月のことだった。当時、精密部品のメーカーに勤務し、必要に応じて設計にも携わっていた。自身も3次元設計がこれからは重要になると感じていたことから、通学時間や費用などを考慮して、名古屋工業大学の「3D-CAD設計技術者育成講座」に、その日のうちに申し込んだ。「気が変わらないうちに、善は急げと思ったんですね」

松尾さんが受講した講座には2つのコースがあった。一つは3D-CADの操作と、機械設計に必要な知識を2カ月あまりかけて習得するもの。もう一つは「履修証明プログラム」といい、3D-CADの操作と必要な知識を習得するとともに、1年をかけて、一般の学生と共に授業を受けて単位を取得するものだ。松尾さんは後者のコースを選んだ。どちらのコースも社会人が通うことを前提にしていて、週に2日の3D-CADの操作の実習、同じく週に2日の授業が、それぞれ3時間ずつ夕方から用意されていた。さらに自習日も週に2日設けられていて、松尾さんは、日曜日を除いて毎日、大学に通っていたこともあった。

「ハードなスケジュールで大変だろうと思えるかもしれませんが、社会人にとっては学びやすく、費用と内容を考えると、いわゆるコスパのいい講座でした」と話す松尾さんだが、単位の取得には苦労した。「学生たちにとっては何でもない数式や方程式でも、こちらはすっかり忘れているわけです。学生たちに比べてハンデがあるのですが、それでも一緒に試験を受けて、合格点を取らないと単位がもらえません」。授業について行けず、3D-CADの操作だけを習得して、受講を途中で断念する人も少なくなかったが、クオリティの高い講座を最後まで受けたいと、松尾さんは頑張った。

さらに上を目指して大学院で「世のため人のため」の研究を

1年間の講座を無事に修了し、エンジニアとして「別次元に進むことができました」と、レベルアップを実感することができた松尾さんだが、もっと上を目指したいと考え、また社会人に特化した大学院のプログラムもあったことから、2020年春には名古屋工業大学の大学院工学研究科博士前期課程の工学専攻社会人イノベーションコースに進学。そして2021年春からは、引き続き後期課程に進むことになっている。この間に、名古屋工業大学の恩師の助言がきっかけになって、ロボットを製作する会社への転職も果たしている。「ロボットのように、これからの社会で求められるものや、世のため人のためになることを研究しなさいと言われたんです」。現在のロボットには、技術的に研究する余地も多いことから、新しい職場に移るとともに、大学院で「ロボットを用いてものづくりの技術を向上させる研究」を続けている。

「転職した会社は、大学院に快く送り出してくれただけでなく、会社を研究室として使うことも認めてくれています。恵まれた環境で研究することができているので、会社の役に立つ成果も生み出したいですね」と語る松尾さん。ロボットは、ものづくりへの活用だけでなく、医療や介護の現場でのサポートにはじまり、高所や毒物などを扱う危険な現場での作業、さらには災害救助や宇宙空間での作業など、さまざまな仕事で人間に代わって活躍することが期待されている。よくいわれるように、少子高齢化で人口の減少が進む日本では、人手不足を補う手段として、ニーズも高まっていることから、松尾さんは人の役に立つロボットの研究・開発に、さらに力を入れたいとしている。

松尾さんは文系の出身。「だからこそ人一倍頑張れる」と語る

大学や会社から受けた支援に対して、いつか恩返ししたい

2016年の正月に交わした会話から始まるこれまでの歩みについて、松尾さんは「充実した5年間で、楽しんで学んできたので、あっという間でした」と振り返る。しかし、学ぶことはまだまだ多く、次々と目標も現れるので、満足はできないと言う。また、学びながら、これまで受けた大学や会社などからの支援に対して恩返しもしていきたいと、これからについて展望している。

「もともと私は文系の出身で、大学では外国語を学びました。設計や製造などに関する知識は、就職してから必要に迫られて身に付けたもので、全くの独学です。名古屋工業大学の先生から、理系言語で話した時間が少ないと指摘されたことがあります。つまり理系の思考がまだまだできていなくて、物理や数学などの知識も不足しているということです。だから、人一倍頑張る必要があります」。社会人に門戸が開かれ、学ぶことができる間は歩みを止めないと松尾さんは決めている。