在学生・修了生インタビュー

法政大学大学院 政策創造研究科

  • 首都圏
  • 大学院
  • 政治・政策・社会
  • 仕事の幅を広げる

50歳というターニングポイント。
ブレない軸「知」を求め、大学院へ。

宇都宮大学ダイバーシティ研究環境推進本部 男女共同参画推進室・女性リーダー育成オフィス 特任助教  
川面 充子さん(50代)

2010年より栃木県高根沢町議会議員、2015年より宇都宮大学ダイバーシティ研究環境推進本部 男女共同参画推進室にコーディネーターとして参画。議員任期中の2017年、法政大学大学院 政策創造研究科へ入学、2019年修士課程修了。
現在は議員の任期を終え、宇都宮大学にて女性リーダー育成オフィス 特任助教として勤務中。ダイバーシティ社会の中の男女共同参画について教鞭をとるとともに、ダイバーシティ研究環境推進事業にも取り組む。

2020年3月21日

活動をする中で「”地に足がつかない”感覚があった」

「社会生活の中で問題意識を持つ”社会人”こそ、大学院に来るべきだと思います」と語る、川面(かわづら)充子さん。東京から新幹線で60分、栃木県高根沢町の町議会議員を2010年から2018年まで2期8年務めた。
川面さんが法政大学大学院 政策創造研究科へ進学したのは2017年。現職の議員であった彼女が「学び直し」を決意した背景には、何があったのだろうか。


当時、高根沢町町議会議員と宇都宮大学でのダイバーシティ推進コーディネーターという役職との「二足の草鞋」で仕事をしていた川面さんだが、「どちらの活動でも”地に足がつかない”感覚があった」と振り返る。

「政治の世界に飛び込んだものの、それまで学問として政策を学んだことがなかったため、徐々に拠り所となる知識の不足に悩むようになっていました。例えば、議員活動の中で行政の方と議論をする時にも、理論やエビデンスが弱いまま意見をすることにモヤモヤとするようになって…議員同士でも勉強会を開くのですが、限界を感じていました。
一方、宇都宮大学の仕事でも、草の根の経験をどれほど積んでいてもアカデミックな知識がなければ周囲に通用しない、というのが肌感覚としてあって、だんだんコンプレックスを感じるようになっていました。」


「実は、大学院での学び直しという選択肢をはじめて知ったのは女優の菊池桃子さんがきっかけでした。菊池さんが「一億総活躍国民会議」の民間議員に選ばれた際、アイドル・女優だった彼女が、なんで国の議員に?とびっくりしてしまって…(笑)なぜ、と思って調べる中で菊池さんが学んだ法政大学大学院のことを知りました。」

50歳という年齢を迎えるタイミングだったことも「今、何かしないときっと後悔する」という思いに拍車をかけた。キャリアカウンセラーの知人に相談すると「借金してでも行くべき」と強く背中を押されたという。
「そうなんだ、これは借金してでもやるべきことなんだ、と。大学院で学ぶのならば、今しかない、と迷いは消えました。」

問題意識をもった社会人こそ「学び直し」を

法政大学大学院 政策創造研究科の掲げている目的は、政策づくり・地域づくり・産業創出を担う地域イノベーションのリーダーを養成すること。文部科学省の「職業実践力育成プログラム(BP)」に認定されている。

菊池桃子さんをきっかけに同大学院のことを知った川面さんだったが、議員の仕事に学びが直結すると考え、迷いなくこの政策創造研究科に進学を決めた。
「学び直し」を決意してすぐに政策創造研究科のオープンキャンパスを訪問しました。女性支援や女性雇用など、自分のライフワークである活動について抱いていた課題感を石山恒貴(のぶたか)教授にお話したところ、「政策創造研究科なら、あなたのやりたいことができる。」と背中を押していただきました。

入学後は雇用や人材育成、労働環境に関わるアカデミックな政策の知識や分析手法などを学び、それらがいかに現実の社会問題と結びついているかを示しながら、提言に結びつける方法を身に着けることができた。


「今の日本って、歳を取った人が大学や大学院で学ぶのは”珍しい”扱い。例えば欽ちゃん(萩本欽一さん)が70代で大学へ進学した時には、メディアが大騒ぎでしたよね(笑)でも、私自身の経験を振り返ると、一回社会に出て経験を積んだ人こそ、リアルな問題意識を抱いていると思います。そのような人がアカデミックな知識やスキルをつけることで、本当に自分に必要としていることに落とし込むことができると思っているんです。」

学びあう仲間が、3年間の原動力に

当初「政策創造」という学科名に抱いたイメージと異なり、川面さんのような現職の議員は少数だった。異業種・異世代が集う中でも、40、50代女性の多さが際立っていたという。「就労経験や出産・育児経験からライフステージの変化を経験してきた女性たちが、自分の生活体験を通し社会問題について考え、何かに活かしたい、という動機を持つのかな」と振り返る。

川面さんの3年間の学びの原動力になったのは、一緒に学んだ仲間たちだった。大学院でのグループワークでも、遠慮がいらない真剣な議論ができた、と語ってくれた。 「”お金を払っているんだから、しっかり教えてもらわないと”―と皆よく言っていましたね(笑)社会人ならではの熱量をもった人が多かったと思います。」

「論文を書く時には、”お互い、ライバルだよね”といい合いながらも、時には”絶対卒業しようね”と励ましあって…相乗効果で、修了まで乗り越えることができたと感じています。」
そんな密度の濃い付き合いを経た仲間たちとは、今でも定期的に情報交換をする関係が続いている。

何かを社会に還元したい思いがあれば、学び続けられる

社会人こそ学びの場に、と語る川面さんだが、「もし進学に迷いを持っている人がいたら、それは”やってみたい”という気持ちがあるということ。思い切ってチャレンジしてみてほしい」とエールを送ってくれた。

「私自身は大学院で学んだことで、現場での活動に手応えを感じるようになりました。学んだ知識をもとに課題やその解決について言語化が出来るようになったのは大きいです。地元で開催した女性同士の意見交換会では、出席していた女性たちから”日頃のモヤモヤした思いを川面さんに代弁してもらったようで、新鮮だった”というような声を頂いたりして。今まで自分がやってきた研究に、確かな意義を感じられるようになりました。」

今も研究生として学びを継続している川面さん。今後も論文執筆などのアウトプットを続けていきたいそうだ。
「学び直しの機会を通して、自分はあらためて女性支援に関わる仕事や活動をやっていきたいのだ、と実感しました。何かを周囲や社会に還元したいという気持ちがある人は、生涯学び続けられると思います。」

学びで得た「知」がブレない軸となり、そして拡がった活動の中で培った想いがさらなる学びの原動力となる。そんな終わらない学びのサイクルを、川面さんはこれからも見せてくれそうだ。