講座・課程詳細

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JMOOC(日本オープンオンライン教育推進協議会) 地層処分の科学(北海道大学提供)

団体名
JMOOC(日本オープンオンライン教育推進協議会)
課程名
地層処分の科学(北海道大学提供)
課程区分
その他
地域:詳細

科目・講師
開講日時
2024/3/28
受講期間の目安
受講料
無料
学費支援
(奨学金)
無し
学費支援(教育訓練給付金)
無し
ジャンル
工学,自然科学
通学/通信区分
通信
募集期間
2024/2/29~2024/8/22
講座の概要
講座内容
原子力発電で生じる放射性廃棄物は、どこに、どのように捨てたらよいのだろうか。放射性廃棄物のうち、再処理した使用済み燃料をガラス固化した「高レベル放射性廃棄物」は、地下300メートル以深に地層処分される計画である。地層処分は放射性物質を閉じ込め、長期にわたって人間の生活圏から隔離するという考えに基づいており、その安全性を検討するために、これまで様々な研究が行われてきている。この講座では、高レベル放射性廃棄物の地層処分を題材として、その科学的な研究アプローチがどのようなものか学習することを目的とする。

本講座では、放射性物質が生活圏に影響を与える可能性のあるシナリオのうち、地下水によって処分施設から生活圏へ運ばれることを考える「地下水シナリオ」を取り上げる。処分施設から生活圏までの間に放射性物質を閉じ込める役割を持つ多重のバリアが構築されるが、各講義では、この多重バリアシステムの構成要素をひとつずつ取り上げ、それぞれが放射性物質をどのように保持し、また生活圏までの移行を遅延するのか、そのバリア機能を評価するための研究手法について紹介する。最後に、将来の地層処分の安全性を評価する「安全評価」についても説明する。

本講座では、学習者が、以下のような地層処分に関する質問に回答することができるようになること、また講義で得た知識をもとに地層処分研究の今後について、各自で考えられるようになることを目標とする。

質問例
-高レベル放射性廃棄物は、なぜ、埋めるのか。
-なぜ、地中深いところに埋めるのか。
-埋めた後、何が起こるのか。施設は壊れないのか。
-放射性核種はいつ、どのように生活圏に到達するのか。
-なぜ、長期の予測ができるのか、どのように予測するのか。


シラバス

第1週
イントロ:地層処分の科学 地下水シナリオとは何か?
本講座で扱う高レベル放射性廃棄物とは何か説明した上で、地下水によって地層処分施設から生活圏へ放射性物質が運ばれることを考える「地下水シナリオ」を紹介する。また、今後の講義で取り上げる多重バリアシステムの構成要素について、期待されている役割を概説する。

担当:北海道大学大学院工学研究院教授 渡邊直子
1. 放射性廃棄物とその区分
2. 高レベル放射性廃棄物の地層処分と地下水シナリオ
3. 多重バリアシステムの要素と期待される役割

1.ホウケイ酸ガラスによる放射性廃棄物の固定化
高レベル放射性廃棄物に含まれる放射性核種をガラスによって固化した「ガラス固化体」について、なぜガラスに閉じ込めるのか、どのように作るのか解説する。また放射性核種がガラスからどのように溶け出すのか、放射性核種の挙動についても説明する。

担当:IMT Atlantique 教授(フランス、ナント)Bernd GRAMBOW ※英語、和訳字幕
1. 核分裂生成物とは
2. 放射性核種のガラス固化
3. ガラス固化の利点
4. ガラス固化体の埋設方法
5. 埋設後のガラス固化体の腐食


第2週
2. 金属容器は何年もつのか? ガラス固化体を1,000年間以上閉じ込める金属容器
ガラス固化体を覆う金属容器であるオーバーパックについて、期待される役割や、その素材、設計・製作方法などについて概説する。また腐食対策や、耐圧、放射線を遮蔽するための仕組みについて説明し、幌延深地層研究センターの地下研究施設での研究など最新研究を紹介する。

担当:日本原子力研究開発機構 基盤技術研究開発部 谷口直樹
1. オーバーパックとは?
2. オーバーパックの設計と製作
3. オーバーパック研究の現在


第3週
3. なぜ粘土で覆うのか? 粘土緩衝材の役割とその研究
オーバーパックと地下深くの岩盤の間で緩衝材の役割を果たす粘土(ベントナイト)について、その性質や、緩衝材に期待される役割を概説する。またベントナイトが放射性物質の移行を遅延させる仕組みや、ベントナイトの機能を評価するための研究について講師が行った実験結果をそのモデルとともに紹介する。

担当:北海道大学大学院工学研究院教授 小崎完
1. 地層処分における緩衝材の役割
2. ベントナイトはどのような材料か
3. ベントナイト中を物質はどのように移行するか
4. ベントナイトの性能をどう評価するか
5. 拡散モデルの検討と課題 (大学院修士レベル相当)


第4週
4. 地層と地表はどのようにつながっているのか? 地層処分に関わる深部地下環境の科学
深部地下環境における岩盤の閉じ込め性能について説明する。また、岩盤中で放射性元素を移行させる地下水や物質の流れ方、その移動経路について解説する。さらに日本の地下研究施設における研究事例として、岩盤中での物質移動のシミュレーションについても紹介する。

担当:日本原子力研究開発機構 幌延深地層研究センター 岩月輝希
1. 地層処分と深部地下環境
2. 地下水(物質)の流れ方をどう理解する?
3. 地下水(物質)の流れ方をシミュレーションする
4. 地下施設周辺の地下水(物質)の移動経路をどう理解する?
5. 坑道直近の地下水(物質)の移動経路をどう理解する?


第5週
5. どうやって将来の地層処分の安全性を評価するのか? 地層処分の安全評価
時間的にも空間的にもシステムの挙動を直接予測できない地層処分について、どのような考えに基づいて安全性を確かめるのか、解説する。将来、起こり得る事象についてのシナリオの作り方、それに基づいた将来挙動のモデル化について説明した後、モデル計算の結果をどのように解釈するのか説明する。

担当:東海大学工学部教授 若杉圭一郎
1. 何を処分するの?-高レベル放射性廃棄物の特徴
2. 何を評価するの?-地層処分システムの構成
3. 将来放射性廃棄物はどうなるの?-シナリオ開発
4. どうやって評価するの?-放射性物質の移行のモデル化
5. 安全評価で何がわかるの?-安全評価結果の分析


前提条件
本講座は、JMOOCカテゴリーⅠ(大学が提供する大学通常講義相当の講座)である。高校生以上を想定しているが、受講に対する制限はなく、どなたも受講可能である。また先行して公開された「放射線・放射能の科学」の知識があると理解しやすい他、一部の講義では、工学部修士レベルの知識が求められる。

課題内容
理解度確認クイズ
最終課題

修了条件
得点率60%以上

学習期間
5週間


講義動画収録時期:2023-24年

科目一覧
ホームページ
https://lms.gacco.org/courses/course-v1:gacco+ga189+2024_03/about
動画埋め込みURL
https://www.youtube.com/watch?v=acaq-Wz7EJU

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