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福岡女子大学 イノベーション創出力を持った女性リーダー育成プログラム
- ビジネス系
- 大学
- 仕事の幅を広げるため
子育てをする中で、通常勤務と学び直しを両立する充実感
野田亜佑美さん
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福岡県出身。「女性活躍」を推進する地元の有力企業、「株式会社ふくや」に入社し、2021年で12年目を迎える。会社から福岡女子大学の女性リーダー育成プログラムに派遣され、チームビルディングやリーダーシップなど、仕事に直結する実践的スキルを得た。
ワークショップに参加して、もっと学びたいと感じた
福岡県で生まれ育った野田亜佑美さんは、地元の有力企業で明太子を製造・販売する「株式会社ふくや」に入社。2021年4月で入社12年目に入る。野田さんが就職先の志望企業を選ぶ際、「女性活躍」の観点は意識しなかったというが、「株式会社ふくや」は、社員の約半数が女性で、2002年には第1回「福岡県男女共同参画企業賞」を受賞している企業だ。入社後は、直営店、コールセンター、インターネット通販の3つの部署でキャリアを積んできた。
インターネット通販の部署に所属してたある日、直属の上司から、「福岡女子大学で行われるワークショップに参加してみないか」と声を掛けられた。野田さんは、「半日のワークショップだし、行ってみようか」と、軽い気持ちで参加を決めた。
そのワークショップは、福岡女子大学の「イノベーション創出力を持った女性リーダー育成プログラム(以下、『女性リーダー育成』)の講座説明会を兼ねたもので、野田さんが参加した回は「レゴ®シリアスプレイ®」がテーマだった(「レゴ®シリアスプレイ®」とは、与えられた題目に沿ってレゴブロックを使って作品を作り、その作品から生まれる物語を発表し合い、メンバー間で対話を行う。こうしたプロセスを通じて、ビジョンの言語化、戦略立案、チームビルディングなどの力を養っていくという研修メソッド)。
ワークショップを体験しての感想を、野田さんは次のように話す。
「自分では気付いていなかった自身の内面が見えたり、他者から自分にはない気付きをもらったり、とても面白く、ためになりました。こういった手法で自分の見つめ直しであったり、学びができるかというのも、新鮮で、驚きでした。他のいろいろな手法の学びができるのであれば、いつか『女性リーダー育成プログラム』を受講してみたいなと思いました」。
しかし、受講費用のことや、次年度の配属先が不明確なこと、そして子育て中であったこともあり、すぐには受講できないと野田さんは考えていた。
チームで課題解決にあたるプロセスを理解できたことが最大の収穫
ところが、2019年度の人事異動に際して、会社から「将来にわたって『ふくや』で活躍してほしいと考えていて、『女性リーダー育成プログラム』に参加し、その成果を持ち帰って業務の改善にあたってほしい」という話があった。もちろん、その話をうれしく受け入れ、野田さんは、2019年5月から始まる第5期『女性リーダー育成プログラム』に参加することになった。「株式会社ふくや」が派遣する初めてのケースだ。
受講費用は会社負担で経済的な負担はなかったが、子育てをしながら、月曜日から金曜日は通常の勤務、土曜日・日曜日は大学に通うという多忙な日々となった。
「受講期間中は、楽しく感じる気持ちの方が大きくて、「大変だ」と感じたことはまったくありませんでした。大学の託児施設を利用することができるので、クルマに乗せて娘と一緒に大学に通っていました。まだ小さいので伝わるのかどうか分かりませんが、母親が学んでいる姿を娘に見ておいてほしかったんです」。
「女性リーダー育成プログラム」は、①対話型コミュニケーションとファシリテーション、②デザイン思考・システム思考、③プロジェクト型実践学習という3つのステップを踏んで、チームビルディングやリーダーシップの発揮方法を学んでいく。
「会社の仕事の中でも、チームで動くことが好きでした。このプログラムでは、相互の対話を通じてチームを形成し、全員で課題の解決に立ち向かっていくというプロセスについて、一つひとつ段階を踏みながら理解を深めることができ、それが一番の収穫だと思っています」。
修了にあたっては、「成果発表会」で発表を行うことになっている。野田さんは、同じような課題意識を持っている4人でチームを作り、「より仕事を楽しくするために、どうすれば良いか」をテーマに研究発表を行った。その研究はまだ途上だそうで、プログラム修了後も4人で集まって自主的な研究を続けているのだという。
学び直しの機会を得て、自分を振り返ることができたのは良かった
2021年3月現在、野田さんは育児休暇中で、5月に職場復帰することになっている。復帰後は、人事課で採用や人材育成の仕事を担当する予定だ。
「人材の育成は、『人』への会社の思いを反映するものであり、一人ひとり、その人自身を見ていかなければいけないもので、そこにはしっかりとした理念がないとダメなんだと思います。せっかく人事で仕事ができるのであれば、そこのところをやってみたいという思いが強くあります。『女性リーダー育成プログラム』は修了生のフォローアップの体制も整っていて、先生がセミナーを定期的に開いてくださるなどしています。そうした機会を活用して学んだ内容を更新、進化させながら、そのアウトプットを、これからの会社の業務に反映させていかなければならないと考えています」。
野田さんが「女性リーダー育成プログラム」を受講したのは、丁度入社10年目というタイミングだった。社会人としてのキャリアアップの重要な段階で学び直しの機会に恵まれたことは、自分を振り返るとても良い機会になったという。そして、自身の経験を踏まえ、社会人が学び直すことの意味について次のように話している。
「どのような学びをするにしても、学ぶ上で『自分を見つめ直すこと』が不可欠だと思います。学ぶことで自分についてもう一度考え、考えることにより『今の自分が、この先どうなっていかなければいけないのか』が見えてくるのではないでしょうか」。