在学生・修了生インタビュー

明治大学 女性のためのスマートキャリアプログラム

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学び直しから、起業という道を見出す

カスタマーファースト 代表 樋渡 枝理子さん(50代)

2016年、大手アパレル企業を退職し「女性のためのスマートキャリアプログラム」を受講後、2018年に起業。
立ち上げたオーダースーツブランド"ENSUITS"は、「良い素材を用いてサイズに合った服を大事に着てほしい」という想いから。徐々に顧客との"縁(en)"の輪を広げている。

2019年11月22日

50歳、学びを通し原点に立ち返る

人生100年時代と言われる中、50歳という転機を迎えセカンドキャリアを考え出した樋渡枝理子さん。当時勤務していた大手アパレル業界では当たり前となっていた、洋服の大量生産、大量廃棄というやり方に疑問を持つとともに、もう一度自分の生き方を振り返りやり直したいという気持ちが強くなり、思い切って退職。
その後、明治大学の「女性のためのスマートキャリアプログラム」(以下、『スマキャリ』)に出会う。

「『スマキャリ』を受けることを決めたきっかけは、藤野公子先生の言葉でした。」と樋渡さんは言う。

学び直しを考え講座情報を集めていく中、明治大学のホームページで、ある文章に出会った。「人生100年時代のロードマップを作り、これからの人生で挑戦したいことやビジョンを視覚化しよう。」と呼びかける藤野公子先生(琉球大学客員教授・ICCA-JAPANキャリアスペシャリスト)の言葉が、当時抱いていた人生を見直したいという樋渡さんの思いにフィットし、受講を決意したという。そして、実際に藤野先生とロードマップを作っていく中で、自分の強みや、やりたいことが見えてきた。

「もともとは、起業をしようと決めて『スマキャリ』を受講したわけではないのです。ロードマップを作る中で、藤野先生から『あなたはアパレルに深く関わった専門家なのだから、それを活かさない手はない』とアドバイスを頂き、アパレルの専門家としての自分、という視点にはじめて気付きました。会社員を続ける中でだんだん忘れつつあった『本当に必要とされる洋服を、きちんと、丁寧に作って提供したい』という原点に立ち返ることが出来ました。」

大学での学びが、社会人としての基礎体力を鍛えてくれた

女性の仕事復帰やキャリアアップを支援する、明治大学の『スマキャリ』では、社会人に必要なスキルをバランスよく学べることで、企業に復職したい女性だけでなく、樋渡さんのように起業する女性にも幅広く対応できるのが魅力だ。また経営学、金融論などの分野も学問として基礎から教わったことが、その後の起業という道に大いに役立ったという。

「例えばマーケティングなどは、会社員時代にもちろん実地で触れる機会はありましたが、プログラムを受講してみて、自分が実は基礎から学べていなかったのだとあらためて気付けたのは大きかったですね。大学という場でアカデミックに、また系統立てて学べたのがその後の力に繋がったと思います。為替の講義などはすごく難しかった一方、ただ知識を付けるのではなく、調べ方を知ることも重要なのだ、という気付きもありました。」

「また、印象深かったのは橋本雅隆先生(明治大学専門職大学院グローバル・ビジネス研究科教授)の『マーケティング実践プロジェクトゼミナール』という講座ですね。グループワークを経て、実際にテーマをいただいた大手企業に最終的にプレゼンに赴くという、貴重な経験を得られました。一方で、ゼミナールでは苦労もありました。働きながら履修する女性、あるいは家庭を持ちながら履修する女性など、それぞれの事情を抱えたグループメンバーがいる中でお互いに調整し、時にはサポートをしあいながらコミュニケーションを重ねていくことの難しさを感じました。複数の人が何かひとつの目標に向かってやり遂げることは、簡単ではないと改めて実感しました。」

このようにコミュニケーション力も含め、社会人としての基礎体力をあらためて強化していった。

「学び」の経験が、夢を後押ししてくれている

プログラムを修了したことにより、厚生労働省の専門実践教育訓練給付金を受けることが出来た。2018年2月には起業し、オーダーメイドのスーツブランド"ENSUITS"を立ち上げる。
「東京都の創業助成金も先日、応募しました。大学できちんと学んだということが、こうした助成金応募時のアピールポイントにもなっています。」

樋渡さんが立ち上げたオーダースーツの"ENSUITS"は、知人たちからのオーダーの受注からスタートし、リピーターを獲得しながら、少しずつ展開を拡げている。大学で学んだことを活かし、リスクを減らし確実に「丁寧に作った、いいもの」を顧客に届けるために、試行錯誤を繰り返している。
「サイズ選びで困っている方や自分の価値を最大限に見せたい方へ、一着ずつ納得のいくオーダースーツをお作りして一人でも素敵な方を増やしていきたいと思います。」

樋渡さんは、笑顔で夢を語る。

まずは、一歩を踏み出してみて

キャリアや生き方を見直してみたいけれどきっかけが踏み出せない、という同世代や後輩世代の女性たちに向けて「まずは一つの講座受講からでも、やってみて」と樋渡さんはエールを送る。

「私自身は、思い切って退職して受講に踏み切ってしまいましたが…おすすめはしませんね(笑)。金銭的な負担もそうですし、心理的な余裕という点からも、必ずしも『辞める』という決断が必要ではないと思います。 それより、働きながらでも土日や、空き時間に一講座を受けてみるというところから、始めてみてはいかがでしょうか。何か一つやってみることで生まれる『気付き』、そこから色々な道が広がっていくと思いますよ。」