特集:琉球大学の取り組み

長年に渡るリカレント教育の実績をベースに、オンライン授業で幅広い層にリーチ

長年に渡るリカレント教育の実績をベースに、オンライン授業で幅広い層にリーチ

職業実践力育成リカレントプログラム
沖縄県内の社会人を対象に、琉球大学、経済団体、地方公共団体、民間企業、ハローワーク等の外部のステークホルダーズと連携・協力し、開発・設計、オンラインと対面とを組み合わせることで、即効性があり、より実践的かつ応用的なリカレントプログラムを実現。
  • スキルよりもWillの醸成を重視したプログラムで差別化
  • 講師と事務で役割分担し、オンライン授業をスムーズに運用
  • 対面授業と変わらない満足度を、オンラインでも提供するための試行錯誤が重要

スキルよりもWillの醸成を重視したプログラムで差別化

——琉球大学でのリカレントプログラムについて、まずはプログラム開講の経緯と狙いについて教えてください。

牛窪: 本学は、学生への教育はもちろんのこと、社会人の再教育にも貢献したいという理念のもと、平成26年から社会人向けリカレント教育を那覇のサテライトキャンパスで実施しています。しかし、コロナ禍の影響で対面授業の実施が困難になってしまいました。ちょうどそのタイミングで文科省事業の公募があったことにより、オンライン授業導入のきっかけにもなると思い、就職支援のaコースと職業実践力養成のbコースへエントリーしてプログラムを開講しました。

——今回のプログラムでは、どのようなスキルが身につくカリキュラムを実施したのですか?

牛窪: 職業教育や人材育成のコンテンツは様々な機関で提供されているため、差別化を図るためにも、「Will(働く意義や自分自身が大切にしたい生き方)」を重視した教育を実践しました。将来「どのような社会貢献をしたいのか」という目標をプログラムで考えてもらい、それを実現するにふさわしい手段やスキルを自分自身でセレクトできる状態になってもらうことを目指しました。これこそがリカレント教育の本質であり、琉球大学の特色であると考えたからです。

——カリキュラムでの具体的な取り組みを教えてください。

牛窪: 受講者自身の職業観や理念を文章化した、ミッションステートメントを作成するというプログラムを実施しました。私が作成したミッションステートメントを受講者に提供し、それを題材にしてコミュニケーションを深めながら各々のミッションの方向性を固め、最終的にはそれぞれのミッションをプレゼンテーションしてもらいました。受講者同士の本音をディスカッションし合う時間となり、受講者のミッションステートメントもはっきりしたという点で意義があったと感じています。

講師と事務で役割分担し、オンライン授業をスムーズに運用

——受講者はどのように募集したのでしょうか?

牛窪: 大学のホームページでの告知や地方紙2誌での広報、フライヤーの配布などを実施しました。中でも効果があったのは、琉球大学サテライトイブニングカレッジ修了生のネットワークによる口コミでした。学ぶことの喜びを享受しあい、常に自己成長していきたいという修了生が口コミで広めてくれたため、非常にモチベーションの高い受講者が集まってくれました。

——緊急事態宣言下での開講となったため、全ての授業をオンラインで実施したと伺いました。実際に取り組んだ中で感じたメリットを教えてください。

牛窪: 距離や移動時間を気にせず、誰もが参加しやすい開かれた環境を作ることができたのはよかったと思います。対面授業だとキャンパスのある那覇近郊の人の参加に限られがちですが、今回は名護市や石垣市、滋賀県といった距離の離れた場所に住んでいる方も参加できました。

——オンライン授業の質を高めるため、工夫したことはありましたか?

牛窪: オンライン授業では、講義資料やテキストを事前に配布して予習・復習を促しました。その際、重要視したのが講師と事務方の連携です。事務方の協力を得て全ての授業を管理してもらい、必要な資料を受講者に事前送付したのです。事務方は大変だったと思いますが、講師との役割分担がしっかりできたためスムーズに運用できたと思います。

対面授業と変わらない満足度を、オンラインでも提供するための試行錯誤が重要

——オンライン授業を実施する上で、苦労されたことはありますか?

牛窪: リカレント教育はアクティブラーニングが重要なので、PBL(問題解決型学習)に取り組むことが基本です。ロールプレイングやディスカッションなどは対面授業に向いているので、それをオンライン上で実施するのが大変でした。講師も新しい手法を学び実践しながらカリキュラムを進め、対面授業と同じような満足度を提供できるよう努めました。また、DVDを活用したケーススタディのディスカッションでは、受講者の通信環境によってうまく視聴できないこともあり、通信環境への配慮も必要だと実感しました。

——今回の事業を通じて、課題や改善点などは見つかりましたか?

牛窪: 講師陣の中にはオンラインツールに不慣れな方もいたので、Zoomをはじめとするオンラインツールのスキルアップに取り組み、少人数にグループ分けするブレイクアウトルームも有効活用できるようにしていきたいと考えています。また、1回の授業が2時間半となっており、1度休むとついていくのが難しく、修了率が約49%に留まってしまったことも課題として捉えています。次回からはカリキュラムの内容をオンデマンドで視聴できる環境を整えたり、受講する科目をセレクトできる体制にしたりすることで、修了率向上を目指したいです。

また、受講者の学習記録である学習ポートフォリオや受講評価ツールのルーブリックをさらに充実させ、受講者の成長ツールとして有効活用してもらうこと、そして、授業の質向上のために教育実績を記録したティーチングポートフォリオで指導履歴や反省点を記録することにも取り組みたいですね。

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受講生

―受講したプログラムは、どのようなところに魅力を感じましたか?

社会人向けかつ少人数の講義なので、講師とのコミュニケーションがとりやすく質問等がしやすかったところです。仕事やプライベートが忙しい中で、自分のキャリアや自己の実現について考える良い機会になりました。


受講生

―受講したプログラムは、どのようなところに魅力を感じましたか?

プログラムの内容はもちろん、年齢、性別、職業の違う仲間とそれぞれの意見や考え方を尊重しながら共有できたことは、とても有意義でした。また仕事やプライベートが忙しい中で、今後のキャリアや自己実現について考える良い機会になったと思います。


受講生

―受講を考える方に、メッセージをお願いします。

充実した内容の講義が多く、とても良いプログラムだと思います。また、コロナ禍ということでオンライン講義となりましたが、講師や受講者同士の交流もあり楽しく受講できますよ。


受講生

―受講を考える方に、メッセージをお願いします。

論理的思考やビジネススキルを鍛え直すきっかけにもなると思いますよ。