在学生・修了生インタビュー

名古屋大学 制御システム開発のためのMBD

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実習用ロボットが1人1台。手厚い体制で学ぶ短期集中講座

成田和彦さん

転職にあたって必要となった「制御システム」に関する新しい知識を得るため、成田さんは名古屋大学の講座を受講。1週間という短い期間ながら、濃密でハードな講座で得た成果は、自動車産業の中でも最先端の技術に取り組む成田さんの仕事を支えている。

会社からの勧めで制御システムを学ぶ

大学で機械工学を専攻し、卒業後はメーカーで機械の設計などに従事していた成田さん。ソフトウエアを設計・開発する会社に転職したことから、2018年に名古屋大学の「制御システム開発のためのMBD」を受講することになった。MBDとは「モデル・ベースド・デザイン」もしくは「モデル・ベースド・ディベロップメント」の略。「モデルに基づく設計」、あるいは「モデルに基づく開発」と訳されることが多い。モデルを使って制御システムを開発する手法といったような意味で、自動車をはじめ、さまざまな機器やロボットなどに搭載される制御システムの開発で用いられる。

「制御システムについては、大学の講義で基本を学んだ程度。前職も制御システムとは全く関係のない分野でしたから、転職先の会社に教育の一環として受講を勧められたわけです」。新しい勤務先は愛知県内にあり、もともと名古屋大学とつながりがあったことから、成田さんも名古屋大学で受講することになった。

必要なことを短期間で集中的に学ぶ

「制御システム開発のためのMBD」は1週間の日程で行われ、30人弱が受講した。受講生は、当時20代半ばだった成田さんと同世代か、少し上の30代が大半。成田さんと同様、企業から派遣されて来た人も少なくなかったようだ。講座は朝8時から9時に始まり、1時間半から2時間ごとの休憩を挟んで、夕方の5時から6時まで続く。受講生には実習用のロボットが1人1台用意されていて、「講義を聞いて、ロボットで実際に試して、正しく作動するかどうか確認」(成田さん)を繰り返し、MBDと制御システムについて深く学んでいくという構成になっていた。また、教授のほかに、4、5人の講師が参加し、受講生のサポートに当たっていた。

「内容がよくまとめられていて、必要なことを短期間で集中的に学ぶことができました。受講生数人に1人の指導者と、手厚い体制になっていたのもよかったですね」と話す成田さんだが、内容が濃く学ぶことが多いので、必死になって講義と実習について行ったそうだ。

「大学で学んだことや、それまでの仕事で経験したことを、ある程度は生かせるのではないかと思っていたのですが、ひと言でいうと何もかもが新しくて、違っていました。それまでの経験や知識で役に立ったのは、大学で学んだ数学の知識ぐらいでしたね。私だけでなく、受講生は誰もがキツイと感じていたと思いますよ」と成田さんは振り返る。

キツイ1週間だったが、学んだことは、仕事に直結していると成田さんは実感している。また、自分が考えた制御システムが狙い通りに作動したときのうれしさも、この講座で知った。「制御システムが意図通りに動く楽しさは、講座で実習用ロボットが正しく動いたときに感じたものと同じです。仕事をする上でのモチベーションにもなっています」。

社会に求められる最先端の技術に取り組む喜び

現在、成田さんが仕事で関わっている自動車の分野では、「自動車を動かしているのは、今やエンジンではなく、制御システムといってもいいほどです」と言うほど、重要性が飛躍的に高まっている。その最先端で、研究開発に取り組んでいることが、成田さんにとって大きな喜びだ。

「自動車における制御システムの役割や必要性といったものは、間違いなくますます大きくなります」と語る成田さんにとって、究極の目標となっているのが自動運転の実現だ。「人に代わって安全に運転してくれるシステムの開発ですね。報道によると、タクシーやバスなどの運転手は、新型コロナウイルス感染症のリスクにさらされているそうですが、自動運転が実現すれば、そうしたリスクも排除することができます」

自動運転の進展によって、無人運転の自動車が実現すれば、高齢者など交通弱者の移動手段が確保されることになる。少子高齢化で人口減少が課題となっている日本には必要な技術だ。自動運転は、関係各社がしのぎを削っている分野といえる。 次代の自動車の制御システムの開発に取り組む成田さん。忙しい毎日だが、「書籍や雑誌、シンポジウムなどから収集するだけでなく、最近ではインターネットのプラットフォームで、無料の講座なども開設されているので、そうしたものにも参加しています」と、新しい知識・情報の収集にも熱心に取り組んでいる。