在学生・修了生インタビュー

日本分析化学専門学校 分析化学応用学科※2021年度より「化学分析学科に名称変更」

  • 理学・工学・農水産系
  • 専門学校
  • 仕事の幅を広げるため

想定以上の成果で仕事でも仕事以外でも「世界が広がった」

平山智公さん

一般社団法人日本毛髪医科学研究所理事長として育毛剤などの製造販売を手がける。医薬部外品の申請に必要な分析データを読み取る程度の知識が欲しいと考えて受講したが、自ら開発に参加できるほどの成果を得たという。

自社製品の成分分析データを理解したい

ヘアケア商品や化粧品などの製造・販売を手がけている平山さん。育毛剤の開発や美容師を対象にした勉強会などの事業に携わっている。しかし、自身は、商品の製造に求められる化学の知識を持ち合わせていなかったために、担当しているのは、もっぱら経営や販売戦略、法務などの分野だった。

「医薬部外品の申請を国に対して行う際には、成分分析のデータを添付する必要があります。化学分析の知識がないので、そのデータも読み取ることができませんでした」。

せめてデータぐらいは理解できるようになりたいと思った平山さん。思い切って、化学の基本や分析の手法について学ぶことにした。そこで、仕事をしながら学べて、京都の自宅から通学が可能であることなどを条件に学校を探し、巡り合ったのが大阪市北区にある日本分析化学専門学校だった。土曜日と日曜日に学ぶコースがあり、自宅から1時間余りで通うことができた。卒業すれば、化粧品や医薬部外品の製造・販売に必要な総括製造販売責任者の資格も得ることができる。

時間の使い方を工夫し業務効率も向上

平山さんが学んだ分析化学応用学科では、1年目は化学や分析の基礎や、分析に使う機器の扱い方などを学び、2年目は分析についてより深く学ぶとともに、グループに分かれて卒業研究にも取り組むことになっている。卒業研究は、学生たちが自ら決めたテーマに、検査や試験、分析を半年以上続けて迫っていくもの。平山さんたちのグループがテーマにしたのは、化粧品のある成分の臭いについて。平山さんの仕事で実際に課題になっていたものだったそうだ。卒業研究に取り組むことによって、商品開発の進め方を学ぶことができたと、平山さんは振り返っている。

分析化学応用学科で一緒に学んだ仲間は約10人。10代から40代までと年齢も職業も幅広く、平山さんの同業者もいた。仲間とは勉強だけでなく仕事の相談もでき、今も交流している仲間がいるそうだ。一方で、カリキュラムは充実していたが、それだけに授業は厳しいものだった。

「土日とも、朝9時から夕方6時近くまで時間割がびっしりで、しかも内容が濃いので、予習、復習が欠かせません。レポートも課されるので、平日にはまとめる時間を見つける必要もありました。おかげで時間の使い方を工夫するようになり、仕事の作業効率が上がりました」と笑う平山さん。思いがけない収穫ももたらしてくれたようだが、授業についていくのはやはり大変で、平山さんは何回も挫折しそうになった。それを救ってくれたのは、やはり一緒に学んだ仲間であり、担任の先生だった。中でも担任の先生のサポートは大きな力になったそう。

何かにつけて先生に相談することで、どうにか乗り切れたと思います。頑張ることは大切ですが、頑張りすぎず、人の助けを借りることも重要です」。ただ先生と話をするだけでも心が軽くなるので、一人で抱えすぎないようにと、平山さんはアドバイスする。

想定以上の成果。仕事以外の世界も広がった

化学の勉強と仕事との両立に苦労した2年間だったが、当初の目標だった「成分分析のデータが読める」ようになっただけでなく、成分分析もできるようになった。

「成分分析ができると、製品開発も一人でできるわけですから、当初の想定以上の大きな成果が挙がりました」と振り返る。何よりもうれしかったのは「大学の先生や医師などの専門家と、化学界の動向、新しい技術や情報などを巡って、より深い会話ができるようになったことです。これまでは仕事や製品に関して相談する側でしたが、逆に相談されることも増えました。本当に世界が広がりましたね」と平山さん。身に付けた化学分析の知識や技術によって、世界が広がったのは仕事だけではなかった。

「化学分析や法律の知識を生かして、さまざまなものの鑑定や謎解きに取り組んだり、考えたりする京都科学捜査研究会という団体で客員研究員をしています。警察の科学捜査研究所の民間版で、検察や警察からもご依頼をいただいています。この団体で、テレビのミステリードラマの監修の手伝いなどもしている。

化学分析について学んだことによって、製品の開発から製造、販売までを一人でできるようになった平山さん。最近はインターネットを通じた販売が増えていることから、マーケティングや販売のスキルの習得に新たに取り組んでいる。「製品の川上から川下まで担えるようになりたいですね」と言う平山さんだが、一人で全てを行いたいということではない。

「研究開発、製造、販売などは、それぞれの専門家に任せますが、専門家と話ができるようになることが重要なんです。そのためには、これからも学び続けなければなりません」。平山さんは「学べば学ぶだけ、世界は広がります」と、その効果の大きさを強調する。